偉大なゴルファーの名言レッスンコーナー その27 2011年7月27日水曜日 17:25

『ゴルフでは最も簡単なことが、最も難しい。それは「力を抜け」と「ゆっくり振れ」の2つのセオリーだ。』

    ヘンリー・コットン(1907~1987)

ヘンリー・コットンは、1934年全英オープン優勝で、常勝米国勢から故国へ奪還したとして一躍、ヒーロになりました。その時のスコアを記念して「ダンロップ65」が発売されたほどです。また当時は珍しい上流階級出身で教養と知性を兼ね備え、レッスン書を書く時に、唯一ゴーストライターが必要ないプロゴルファーと呼ばれました。
そんなコットンが遺した言葉は、ゴルフを始める時に必ずいわれる冒頭の2つのことでした。これは言葉だけでマスターはできないと、コットンがすすめたのは古タイヤ叩きでした。ヘッド無し、シャフトだけのクラブで古タイヤを叩くと、脱力の仕方が実感できるというものでした。皆さんも試されてみてはいかがでしょうか?

なでしこの活躍が続く中、ルールに泣いたなでしこ。  17:05

 女子サッカーの世界一に続き、我が宮里藍が、米国ツアー・エビアンマスターズで今季初優勝を飾りました。いやあうれしいですね。こんなにも強いゴルフ、そしてプレー中の厳しい表情を見たのは初めてです。いかにもアスリートという感じのいい表情でした。ワンランクアップしたレベルの高いゴルフでした。これまでは、パットが入らなければただの人という陰口もたたかれていましたが、今回はドライバー、アイアン、アプローチ、パットと文句のつけようがないゴルフだったと思います。引き続き今季最後のメジャー全英女子オープンでも好調を維持してほしいと思います。今年のコースは、難関カヌースティーです。自然との厳しい闘いが強いられます。相手にとって不足はないと思います。
 一方残念だったのは、金田久美子です。せっかく米国ツアーに出場できたのですから、ルールの解釈の違いから予選落ちというのはあまりにも情けない。海外のトーナメントに出場しているのですから、郷に入っては郷に従え、ということわざ通り、きちんとルールを理解してほしいものです。事の発端は、雨ルールです。結構降り続いた雨のために、短い芝、つまりフェアウエイやカラー付近では、リプレースが認められることがあります。しかし、日本でラフでもリプレースが認められているせいか、今回の大会ルールのラフではリプレイスができない、というルールを確認せず、ボールをピックアップしてしまったのです。どの国のトーナメントでも、クラブハウスの所定の場所に特別ルールが掲示されます。選手はどんな時でもこの掲示を見て確認することを義務付けられています。これを金田は確認せず、スタートしてしまったのですね。これはもっとも悔やまれるペナルティーです。
 宮里藍が優勝の喜びに浸っている2日前に、同じなでしこがこんな悲哀を味わっていたのです。

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プロ野球のボールが飛ばなくなって技術力がアップしたそうです。 2011年7月21日木曜日 14:15

 本日の朝日新聞と日経新聞に興味深い記事が載っていました。一つは、プロ野球のボールが飛ばなくなったおかげで、ホームランは減ったが打撃技術がアップしている、というものです。飛ばなくなった分だけ技術向上を手掛ける選手が多くなり、逆にホームランを打つ技術、ヒットを打つ技術が高まっているというのです。なるほど技術もなく、単にボールの品質だけでホームラン量産というのもおかしな話です。大リーグはもともとこのボールを使っているとか。それだけ技術力とパワーもすごいということになります。ゴルフでも同じことが言えます。もちろん飛ぶボールのこともありますが、ゴルフ場の問題もあります。バブル期に完成したコースは、海外の著名設計者による見事な設計のコースが多いのですが、一つ問題点があります。それはできるだけいいスコアが出るようにしてほしい、というオーナーの要望があったことです。そしてフェアウェイが広く、バンカーが少ない、平らなグリーンが完成したのです。つまり自分の腕をそれほど磨くことなく、いいスコアが生まれるようになったのです。やはりゴルフコースはもっと欧米のコースのようにチャレンジさせ、難易度のバランスを考え、ある程度プレーヤーに考えさせないと面白くないのではないでしょうか?どうやったら、あのOOコースのOOホールを攻略することができるか、と考えさせるほうが本来の意味のゴルファー気質というもののような気がします。18ホール中何ホールか、でもいいのでもっと考えさせるコースをセッテイングしてほしいものです。
 もう一つの記事は、日経新聞に出ていた、豊田泰光さんの記事でした。新人でそれほど活躍していないにも関わらず、あの斉藤祐樹選手がなぜかオールスターに出場する、ということを批判しています。やはりそれなりに努力し、人から尊敬されるぐらいの選手が出場するのがオールスターだろう、ということです。人気先行、人寄せパンダ状態の出場というのはいかがなものか、と確かに誰でも思うでしょう。やはり実力に裏付けされた人気というものを早く獲得し、堂々と出場してほしい、という球界の大先輩の親心ではないでしょうか。ゴルフ界でも同じように人寄せパンダ状態の選手がいますが、こちらは毎回優勝を期待され、本人が感じるプレッシャーはいかばかりでしょうか?その反動が女性に走ったあのタイガー・ウッズにつながるような気がします。大衆とメディアのパワーはすごいです。でもそれに流されていたら、寿命が短いように思いますがいかがでしょうか?

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偉大なゴルファーの名言レッスンコーナー その26 2011年7月20日水曜日 16:40

ゴルフはベスト・ミスのゲームなのだ。

ジーン・リトラー(1930~)

 リトラーは現役時代、そのスイングを評して「ジーンズ・ザ・マシーン」と賛美されました。その精密機械のごときスイングの持ち主が「いくつ素晴らしいショットを打ったかではなく、いかに取り返しのつくミスにするかがスコアメイクの要なのだ」というのです。 ボールの芯をクラブフェースのスウィートスポットで打つ完璧なショットを、どんな名手・名人でも打ち続けることは不可能。ちょっとダフったり、トップ気味に当たったりします。要はそのショットを次にどうカバーできるか? ゲームを組み立てることがスコアメイクのなかでとても重要だということです。
 そういう意味では、スイングとスコアの相関関係にも似てるといえます。美しいスイングの持ち主がいいスコアを出すとは限りません。精密機械といわれたリトラーがそういうのですから間違いありません。

なでしこジャパン世界一に圧倒された全英オープンと有村  15:32

 なでしこジャパンサッカーチームは大変な快挙を達成しました。これほど興奮した試合を見るのは久しぶりで、東京オリンピックの女子バレーボール以来でしょうか?(これはかなり古いですね。笑)試合内容も土壇場での同点劇で延長、そしてPk合戦、と一進一退の見ごたえのある試合でした。まさに格闘技の醍醐味とも言えますね。
 この女子サッカーの影に隠れてしまったのが、全英オープンのダーレン・クラークの初優勝と日本ツアーの有村智恵のアルバトロス、ホールイワンの快挙達成の末の優勝でした。両方とも女子サッカーのすごさに隠れてしまいました。でもダーレン・クラークの優勝も見事でした。42歳の年齢ながら、最も過酷な全英オープンと言われるロイヤルセントジョージでの大会を制したのです。自然との闘いが最も厳しいと言われるコースです。事実彼は、セカンドショットで、空を飛ばさない、地面を這うようなゴロのショットでしのいだホールがいくつもありました。ちょっとでも上げたら風の餌食になるからです。このランニングアプローチを本番で使える選手というのもなかなかいません。他には日本の青木功選手ぐらいなものではないでしょうか?そんな中フィル・ミケルソンの猛追にもめげず、優勝をもぎ取ったのです。全米オープン優勝のローリー・マキロイと同じ北アイルランド出身です。マキロイは、このダーレン・クラークのジュニア育成の結果生まれてきた選手だということを考えれば、ダーレン・クラークの全英初優勝は、北アイルランド待望の優勝です。三平としては、日本でももっと報道してほしかったいい話の一つでした。
 また有村智恵選手のアルバトロスとホールインワンが同じラウンド中の出来事だったというのも大変な快挙です。10万回に一度の確立とも書いていたメディアもありました。もちろ大会には優勝したわけですが、これももっと大きな記事になるところでしたが、女子サッカーにスペースを取られてしまいました。
 次回は逆にゴルフの記事で他のスポーツの存在が薄くなるようなビッグニュースを提供してほしいものです。

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ティーチングプロの役割とは 2011年7月14日木曜日 11:22

 今週の週刊文春に中嶋常幸プロが、ティーチングプロの役割についてコメントしています。三平も、いつか誰かがこういうコメントをするんだろうなあ?待ちに待っていたコメントでした。日本人というとシャイな性格もあってか、人にゴルフを教わる、ということをあまりしたがらない傾向があります。それで世の中自己流で覚えました、というオジサンゴルファーがなんと多いことか。
 米国のレッスン事情はちょっと違います。ゴルフ誌には、年間ティーチングプロランキングが出るほど、ティーチングプロの存在が認められています。
 あのジャック・二クラウスもジャック・グラウトというティーチングプロが密着していましたし、トム・ワトソンもバイロン・ネルソンという名伯楽がついていました。近年ではタイガー・ウッズもブッチ・ハーモン、ハンク・ヘイニーと米国を代表するティーチングプロが見ていました。フィル・ミケルソンもジュニアのころは、ディーン・ラインマスから徹底してアプローチ、パットを教え込まれています。彼の天下一品のロブショットは、このラインマス仕込みです。
 三平が最初に、ティーチングプロの存在を目の当たりにしたのは、かれこれ17,8年前のことでしょうか?ジャマイカで開催された世界ゴルフ選手権に行った時のことです。あの日本でも有名になったデヴィット・レッドベターが、J・V・シンとニック・ファルドの間を言ったり来たりして、ずうーと教えていた姿を見た時です。身体の調子、精神的にも日々違うスイングになる、だからいつも見てもらって修整している、とコメントしていました。こんな世界のトッププロでもこうして絶えず見てもらうんだな、と衝撃を受けたことを覚えています。
 先日日本のシニアの大御所と言われている人も、石川遼に米国のいいティーチングプロがついたら、その時はかなり期待できるよ、とも言っていました。
 ましてやアマチュアの我々は、さらにきちんとティーチングプロに見てもらわないとだめだということに気が付くべきです。日々違うゴルフをしているんですから。

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偉大なゴルファーの名言レッスンコーナー その25 2011年7月11日月曜日 17:02

『バンカーショットは、もっともやさしいショット。なぜならボールを打たなくていいからさ。』

                      ジャック・バーク

普通のショットでは、クラブフェースにきっちりと当たらなければ飛んでいってくれません。アプローチのような小技でも、フェースがボールと芝の間に寸分の狂いもなく入っていかなければナイスショットにはなりません。何センチでも手前から入ればダフリだし、行き過ぎてボールの腹を叩けばトップボールになります。
ところが、バンカーショット(エクスプロージョン=爆打)だけは、このフェースとボールの間の“きっちり感”はかなりルーズで、1~3センチ手前から入っても――寄せることはできなくても――脱出することだけはできるでしょう。つまり、かなりアバウトにダフればいいというショットなのです。
ただし、短い距離をフルショットに近いスイングで振るのには勇気がいります。コースへいったら練習場にバンカーがあれば、必ず練習すること。やればやっただけ、自信がついたらついただけ上手くなるといわれてますので、挑戦してみてください。

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羽川プロ、シニア初優勝!  16:24

 我らが、羽川豊プロが、シニアトーナメント初優勝を飾りました。今年のシニアツアーの初戦、トータルエネルギーカップ・PGAフィランソロピーシニアトーナメントにおいて、佐藤剛平プロとプレーオフの末、なんと20年ぶりという優勝を飾ったのです。最後に優勝したのが、1991年の静岡オープンでした。三平は、ゴルフダイジェストの記者より電話をもらい、この吉報を知ったのですが、早速本人にお祝いの電話。開口一番「やっと優勝しました、いやあ長かったあ。」と絶句。そうでしょうしょうでしょう、最後の優勝以来、イップス病にかかり、パットが入らなくなった、といいます。日本学生選手権4連勝の偉業を打ち立て、鳴り物入りでプロ入り後、すぐ日本オープンで優勝、そしてマスターズに招待され15位。その後も優勝を続け、順風満風の活躍をしていたのですが、突然のイップス。この間、本人もつらかったと思いますが、そこは明るく前向きの人間性、周囲にはその苦労を顔には全く出さなかったのです。その後誰からも愛される人間性ゆえ、テレビ解説者などに引っ張りだことなったのです。毎年歯切れのいい解説で、好評を得ているのですが、そこはやはりプロ。様々なゴルフの仕事をつづけながら、捲土重来、復活を絶えず狙っていたのです。昨年中尺パターに切り替え、「これでいけそうな気がする」など言っていました。
 これでまた今週の全英オープンの解説もノリノリの解説になるのではないでしょうか。

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韓国に負けていては、世界では勝てない。 2011年7月4日月曜日 16:24

 昨日の男子、女子の両プロトーナメントではっきりと日本と韓国のゴルフの強さの違いがわかったと思います。圧倒的に韓国勢が強くなっていますね。しかも選手層が厚くなっています。これだけ韓国が強かった、という現実を見せられてしまうと、三平もかなりあせりますね。つまり石川遼がいくら世界のメジャーのタイトルを狙っていても、まずお隣の韓国勢に勝たなければ、世界では勝てないことになるからです。
 昨日女子の日医工女子オープンでは、優勝こそ上原彩子でしたが、2位から5位名まで韓国勢、しかも現在賞金女王のアン・ソンジュが出場していません。彼女が出ていたならそれこそどうなっていたか。男子は、日韓ミリオンヤードカップで日本対韓国の直接対決の大会です。これに最終日の個人戦10人づつの試合で、日本は3勝6敗1分け。最終日だけのスコア順でいくと、ベスト10のうち、韓国勢が6人~7人入ってしまうすごさです。
 今年の春先、全美禎さんと食事をする機会があったので、韓国の皆さんの強さの秘密はなんですか?と思い切って聞いてみました。彼女は、戸惑いながらも、やはり心構えではないでしょうか?と答えてくれました。日本人プロも一生懸命練習し,試合にも真剣にのぞんでいると思いますが、この気合が一歩韓国勢のほうがが勝っているということなのでしょう。
 それと三平は、いつも思うのですが、やはりトーナメント開催コースの難度ではないかと思います。バブル期の影響で、いいスコアを出せるコースがいいコース、という風評になり、欧米のようなハードなコースは敬遠される雰囲気がありました。コースはプレーヤーを育てるといいます。やはりもっと考えさせるコース、戦略を常に練らないと克服できないようなハードなコースでトーナメントの開催をやってほしいと思います。欧米のコースで育ったという選手が多い韓国勢のほうが強くなるのは当たり前かもしれませんね。

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偉大なゴルファーの名言レッスンコーナー その24 2011年7月1日金曜日 12:28

『ゴルフに急速の上達はないが、しかしいつ始めても遅すぎることはない』

                ダグ・サンダース(1933~)


 ゴルフは1日1歩、または1歩下がって2歩進む。そんな性質を持つゲームなのです。たとえ美しいスイングをもっているからといって、それが必ずスコアアップにつながると限らない。美しいスイングは“手段”ではあっても全てではありません。
 だからといって、いつ何歳から始めても遅すぎることはないという不可思議な面も持っているのです。2年前、60歳にならんとするトム・ワトソンが世界のメジャー、全英オープンに勝ちそうになる、そんなことは野球や他の球技では絶対起こりえないことです。
 サンダースはファッショナブルなスタイルで人気を博しましたが、「テレホンボックススイング」という小さな速いスイングを、貧乏な子供の頃から独自の努力でつくりあげた人でもあるのです。苦労人だからこその「言葉」、年齢遅くして始める人の希望になる「言葉」でもあります。

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