偉大なプレーヤーの名言レッスンコーナー その19 2011年1月26日水曜日 14:11

『ゴルフは急に上達することはないが、しかしいつ始めても遅すぎることはない』

       ダグ・サンダース(1933~)

 若い時は、あんな年寄りのスポーツとゴルフを敬遠していたり、何となくゴルフをやりそびれてちょっと後悔している人にとっては勇気づけられる言葉だと思います。ゴルフはボールを打つスイングができても、コースを攻略するというコースマネジメントができなければスコアアップは望めません。使うクラブもドライバーからパターまでの14本のクラブでコースと戦わないといけません。それには経験が必要ですので、一朝一夕では急に上達することはありえないのです。
 しかし落胆することはありません。60歳から始めてシングルプレーヤーになった人は、三平が知る限り十指に余ることはありません。若い筋肉だけでなく、頭脳を使って合理的な練習を積んでいけば、ゴルフは必ずそれに応えてくれるスポーツなのです。だから面白いのです。
 この言葉を言ったダグ・サンダースは、米国ツアーで20勝を上げている実力派プロで、派手なファンションやスリークォーターショットと呼ばれた小さなスイングでとても人気があるプロです。若手の育成などに獲得した賞金を惜しげもなく寄付したりとまじめな一面を持つ異色プロでもありました。そんな彼が残したホッとするこの言葉がまた意外性があっていいですね。

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偉大なプレーヤーの名言レッスンコーナー その18  13:34

『ラウンド中、チェックするポイントは一つに絞ること、たった一つでいい』
   ケリー・ミドルコフ(1921~1998)

 ミドルコフは、歯医者さんからプロゴルファーになった変わり種です。全米オープンに2度優勝、全盛はやはり1956年、マスターズで、あのベン・ホーガンに8打差も付けて優勝した時でしょうか。
 そのミドルコフがいつも心がけていたのが、この言葉の練習法です。
 ゴルフを始めて練習を重ね、そこそこ打てるようになって初ラウンドという段階になった時、練習場であれこれ練習したチェックポイントを頭に入れながらラウンドしてみようと思うでしょう。しかしアドレスやグリップ、テークバック、トップとチェックポイントが流れていくうちに、アドレスで固まってしまい、筋肉は硬直し、空振りさえ出てしまったなどという経験はありませんか?
 そうなのです、年齢も遅くから始めたアマチュアの皆さんの要注意ポイントです。あれこれチェックするのは練習場で行い、ラウンド中は、ひとつ絞ってチェックする、プロ入りが遅かったミドルコフの経験から来る名言です。練習もあまりしないクセにチェックポイントだけはいっぱい頭にイメージしてラウンドする三平にとっては頭の痛い言葉です。

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M・カイマー優勝のアブダビGCは砂漠の中のコース 2011年1月25日火曜日 12:24

 1月23日に最終日を迎えたヨーロピアンツアーのアブダビHSBCゴルフ選手権で、ドイツが誇る若手プロ、マルティン・カイマーが2位に8打差という大差をつけて優勝しました。昨年全米プロでメジャー初優勝したヨーロッパ期待の星です。今回の優勝で、あのタイガーを抜いて世界ランキング2位にあがることになります。それにしてもすごいですね。タイガーもうかうかしていられません。こういう新人のスーパースターの出現は、逆にタイガーを刺激するにはいいことかもしれません。
 ところで今回のトーナメントの開催コースのアブダビゴルフクラブには、三平も行ったことがあるのです。UAE(アラブ首長国連邦)の首都で、石油の産油国としては日本も大きな恩恵を受けている国です。三平は、ドバイのゴルフコースにタイガー・ウッズが設計するコースが工事中ということを聞き、即見てみたいということで行ったのですが、何と周囲は塀で囲まれていて、入ることも許可されませんでした。10億円という設計料でどんなコースができるのか見てみたかったのですが、残念でした。その変わりドバイやUAEのゴルフ事情を聞きたかったので、たまたま知り合いだった日本からの全権特命大使のところにアポイントをお願いしたのです。そうしたらアポイントの場所として今回のアブダビGCのクラブハウスを指定してきたのです。砂漠の中ながら日本のコースのように芝がしっかりしていて、ホール間も木々がうっそうとしていました。聞くところによると海水を真水にする技術が発達していて、見事な緑化作業が行われていました。この技術は日本の技術だとか。コースも素晴らしくトーナメントコースとしては欧米のトップクラスのレベル同等のコースでした。全権大使のおかげでコースを隅々まで拝見することができ、またドバイやアブダビのゴルフ事情を知ることができました。この国では、ロバート・トレント・ジョーンズjrやジャック・ニクラウスなどそうそうたる世界のトップクラスの設計コースが次々と建設されています。また世界の新たなゴルフリゾートが生まれつつありますね。ゴルフファンなら一度は行ってみたい夢の国だと思います。

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タイガーの世界ランク3位に思う  10:35

 我らがタイガーの世界ランキングがついに3位に落ちました。残念ですが、あれだけ精神的にダメージを受け、試合にも出ず、スイングもおかしくなったのに、3位に踏みとどまっているという表現のほうがあっているように思います。タイガーの不振は、あれだけの騒ぎを自分で起こしたのですから当然ですが、冷静に見れば、ゴルフというスポーツはいかに精神的な要素が強く影響するスポーツなんだな、ということを身をもって実証したのではないでしょうか?
 いかに安定した精神を保つか、集中力をいかに発揮するか、冷静に自分をどれだけ見つめることができるか、これがゴルフの3要素のような気がします。
 青木功プロは、「心・技・体ではなく、体・技・心だ」とも言っています。きちんとした体力がなければ、技も安定せず、心理的にも不安になってしまう、というものです。結局最後に行きつくところは精神的な安定だ、という点では同じことを言っているわけです。
 今思えば、青木さんの場合、痔の手術で入院し、体力が一気に落ちたあと復活した時にこんなことを言っていたように思います。
 タイガーも今期は、心機一転し、心も身体も以前のように復活することを祈っていますが、あれはいい薬になった、という発言が出るような状況になるといいですね。
 世界には、タイガーを抜いて2位になったカイマー(ドイツ)のような新進気鋭の若手がいっぱいうようよしているのですから、タイガーもうかうかしていられません。

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ソニーオープンのワイアラエCCは、意外なところに罠がある。 2011年1月17日月曜日 16:48

 今年も米国PGAツアー・ソニーオープンがワイアラエCCで開催されました。残念ながら2日までに首位に立っていた丸山茂樹選手は優勝できませんでした。初日が雨だったため、最終日に36ホール、つまり3日目最終日を1日で行ったためスタミナが勝負となった大会になりました。この36でスコアを伸ばせなかったのが原因で、丸山選手は優勝を逃してしまいました。このワイアラエは普段パー72のコースをこのトーナメントのと時だけパー70に設定して開催するのです。つまりパー5のホールをアウトインとも1つづつに設定し、普段パー5のホール2ホールをパー4にするわけです。これで距離の長いパー4が2ホール出現することになるわけです。また海沿いのホールは2ホールあります。16番ホールと17番ホールですが、この2ホールとも風が強い。見た目は大した難しさでもないホールですが、なかなか風をよむのが難しいのです。だからほとんど平坦な地形のコースなのでラウンドする分には楽なのですが、風とちょっとした罠がグリーン周辺にあるため、精神的に疲れてしまうんですね。
 17番ホールは海を左側に見る美しいパー3です。距離は大したことないのですが、なぜかあまりワンオンしません。理由はバンカーが縦に並んでいて、距離感がつかみにくいんです。しかも風が横から吹いてくる。まさに綺麗なコースには罠があるんですね。
 青木功プロが優勝した時も結構疲れていたようです。最終日の最終ホール、パー5で勝負が決まったのですが、実はこのホールのティーショット、セカンドショットともミスショットだったんです。2打目も3打目も深いラフからのショットになったのです。それで通常2オンしてもおかしくないパー5なのですが、3打目127Yも残ってしまった。ところが青木さんには強力な運が付いていて、これをピッチングウエッジで直接カップインしたのです。これが奇跡のイーグルで大逆転優勝した真相です。
 だから運もないとこのコースは克服できないんです。丸山選手は7位でホールアウトしましたが、健闘したと思います。運が2日までしかなかったということです。
 そんな運の話になりやすいのもこのワイアラエの魅力の一つなのです。
 

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青木プロと飛行機から見た阪神淡路大震災  12:20

 ちょうど16年前の今日、1月17日、三平は青木功プロと一緒に飛行機でフィリピンに向かっていました。
ヨーロピアンツアーの第1戦のジョニーウォーカークラシックに参戦するため成田発のJALに乗っていたのです。その日早朝神戸では大変な地震に見舞われていたのは我々も知っていましたし、成田に集まった際の最初の会話でした。
 その成田から飛び立った飛行機はたまたま神戸の上空を通ったのです。それがわかると窓から二人して乗り出すように眼下の様子を必死に見たのです。数千mの上空とは言え、悲惨な状況がよく見えました。あちこちの住宅から、炎と煙が充満している様子がわかり、何ともショックでした。
「ひでえな、なんでこんなことになるんだ?」と横にいた青木プロの目から大粒の涙が落ちたのを今でも鮮明に覚えています。「あのあたりにダンロップの本社もあるよね?」とか「とんでもないことが起こってしまったな」「空の上にいるから何にもできないけど、どうしようか?」などと話しながら何か考え込んでいました。
 そしてマニラに着き、そのまま開催コースに着いた途端、青木プロは小さな段ボールの箱を持ち、各参加選手達がいるロッカールームに消えたのです。この段ボールをどうしたかというと、彼は地震募金集めをしていたのです。
当時のこの大会への参加者と言えば、グレッグ・ノーマンやニック・ファルド、イアン・ウーズナム、フレッド・カプルスなどそうそうたるメンバーでした。その彼らからドル紙幣を一杯寄付してもらい、段ボールに詰め込んでいたのです。
 あれから16年にもなるんですね。2度と起こってほしくない震災です。

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ザ・ロイヤルトロフィーの開催地ホアヒンを思う 2011年1月11日火曜日 12:53

 年が明けたと思ったら、もう海外のツアーでは既に戦いが始まっています。USPGAツアーは恒例のハワイ・マウイ島カパルアリゾートで開催したチャンピオンズトーナメントでJ・バードが優勝、ヨーロピアンツアーはなんと第3戦になりますが、南アフリカで開催されたアフリカオープンで地元のウーストハイゼンが優勝しています。
 一方我がアジアでは、アジアの代表8人とヨーロピアンツアーの代表8人による対抗戦が、タイを代表するリゾート地ホアヒンのブラックマウンテンリゾートで開催されました。
 日本からは、石川遼、池田勇太、薗田俊輔が出場、2日までリードを保っていたアジアチームでしたが、最終日の個人戦でまさかの大転負け。ヨーロッパチームに勝利の女神がほほ笑みました。
 ところでこの大会が開催されたホアヒンですが、ここは素晴らしいビーチリゾート地として知られています。不肖三平も取材で行ったことがありますが、メガリホテルもあり、ゴルフ場のレベルの高さには目を見張るものがあります。今回のブラックマウンテンもオーストラリア人の設計ながら、素晴らしいコースです。米国の難度の高いコースと同じぐらい難しいコースです。元々このホアヒンは、タイの王族が開発したリゾート地として知られ、首都のバンコクから車で南に約3時間。有名なパタヤビーチのちょうど湾をはさんだ対岸にあたります。タイでは、プーケット、チェンマイ、パタヤ、コーサムイと並び、タイを代表するリゾート地となっています。王族の別荘もあり、さらにタイで最も古いゴルフコースのロイヤルホアヒンGCなどがあり、その分だけこのホアヒンが評価が高いリゾートとなっています。ヨーロッパからのツアー客が多く、繁華街などは、欧米人で賑わっている楽しいリゾートです。
 三平が取材したリゾートホテルの中には、お客様の部屋数と同じ数のマッサージルームが存在しているホテルもありました。いずれもタイ式マッサージで、なんとも疲れた体を癒す素晴らしいホテルだったと記憶しています。
 こんなリゾートでのゴルフは、楽しいというより極上の癒しを感じますし、天国でのゴルフという感じですね。そんな場所でのゴルフを経験した石川遼君は、たっぷり癒されたと思いますので、今年のさらなる活躍を期待したいと思います。

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新年明けましておめでとうございます。 2011年1月5日水曜日 17:10

 新年明けましておめでとうございます。今年も様々なゴルフよもやま話を書きたいと思います。
年末から新年にかけて、なぜかバタバタしていてゴルフの話しを書く時間が取れずに失礼しました。
その間、昨年の三平のゴルフは最悪だったな、と悔やむ日々が続いていました。ハーフ30台も出れば、
40台、50台まで出てしまった昨年の三平のゴルフ。回数はそれほど多くないのですが、ゴルフの内容が悪い。今思い出してもぞっとします。ダフリも出れば、トップも出る。年末最後のゴルフもスコアは40台ながら、グリーン手前までドラーバーで運んだにも関わらず、グリーン手前40ヤードのところから、トップでOBを打ってしまいました。これは大ショックでした。このイメージがなかなか離れず、偉そうにこのコーナーなど書けなかったのです。でもこれではいけない、と思い直し、やっと新年も5日になって書くことができました。(これほどショックが大きかったのです。)
この間ゴルフ界も結構話題がありました。
こんな情けない三平のゴルフ事情を尻目に、石川遼や池田豊にマスターズの招待状がしっかり届いたり、PGA選手会の会長に宮本勝昌プロ、副会長の石川遼が共に再選されたりとオフシーズンの動きが結構ありました。そうそう忘れてはいけないのが、樋口久子LPGA会長が退き、小林浩美プロが新会長に選ばれたことです。
樋口久子前会長の功績はとてつもなく大きかったですね。三平もお世話になった方ですが、ゴルフに対する姿勢は、世界中のトッププロにも勝るとも劣らないものだと思います。あの青木功さんも「ゴルフに対する姿勢は、チャコにはかなわないよ」と脱帽でした。小林プロも偉大な前会長の後だけにやりにくいでしょうが、新たにLPGAの明日を任されたということは彼女にそれだけ期待したい、という表れでしょう。頑張ってほしい、と思います。どんな新運営方針が出てくるか今から楽しみです。やはり大勢の人がトーナメント会場に足を運ぶ運営を考えてほしいですね。大勢の人が見ていると、各選手もスーパーショットが出るものなんです。
あのタイガー・ウッズのスーパーショットの時など、地鳴りがするぐらいの歓声が上がります。鳥肌が立つぐらいのショットに、さらに鳥肌が立つような歓声が出ます。ギャラリーは興奮のるつぼと化します。三平も何度もこんな場面に立ち会いました。あの感動は忘れることができません。それもギャラリーが多くないとこんな感動も生まれません。そんなトーナメントを是非作ってもらいたいものです。期待したいと思います。

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