偉大なプレーヤーの名言レッスンコーナー その17 2010年12月28日火曜日 15:41

 『大切なクラブの順でいえば、1にパター、2にドライバー、3にウエッジ』
    ハーヴィー・ペニック(1905~1995)
 ペニックは、ツアープロでしたが、引退後テキサス大学でコーチを務め、多くの名選手を世に送り出した伝説的なインストラクターでした。代表的な選手に米国PGAツアーの賞金王となったトム・カイト、マスターズに2回も優勝したベン・クレンショーがいる。
 特にクレンショーはが2回目のマスターズ優勝を飾った時のコメントは感動ものでした。この優勝の1週間前にペニックが亡くなったのですが、師匠を例えて「僕のバッグには15本目の"クラブ”が入っていました」と18番グリーンで、愛器のウイルソンL字パターを掲げて泣き崩れたのでした。
 クレンショーは、ペニックの手ほどきを受け、パットの名手として知られていました。そのパットのおかげでマスターズに優勝できたのです。そのペニックの教えが15本目のクラブとして入っていたのでしょう。
 ペニックは、その教えを次のように解説しています。
「ドライバーは、たいてい1ラウンドで14回しか使わないが、パターは、22回~30回の半ばぐらい使う。300ヤードのドライブも、10cmのパットも同じ1ストローク。ならばパターを重要視するほうが当然なのです。」
「ドライバー イズ ショー、パット イズ マネー」と言われるのは、不肖三平もよく理解できますが、現実的に身につまされる今日この頃です。
 

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日本から4人のゴルファーが2011年マスターズに出場 2010年12月20日月曜日 15:51

 昨日米国にて発表された世界ランキングに日本から3人プロゴルファーがベスト50に入りました。3人とは、36位の石川遼、41位の池田勇太、48位の藤田寛之の3人です。さらにアジアンアマチュア選手権に優勝した松山英樹を含め、来年のマスターズには、日本から4名出場することになりました。すごいことですね。推薦出場ではなく、この4人とも堂々の実力でランキング50位入り、また実力優勝で出場を勝ち取ったわけです。さらに日本ツアーの賞金王キム・キョンテは29位でこちらも堂々の出場。この5人のゴルファーには出場するからには、本戦のマスターズでも是非活躍していただきたいと思います。
 いやあ、三平もうれしいですね。マスターズを見る楽しみが一気に増えましたね。マスターズの華やかな雰囲気や欧米の強豪の顔ぶれに臆することなく、堂々と実力を発揮してほしいと思います。昨年は精神的な部分で弱いところを見せた石川遼ですが、来年は心機一転強気で頑張ってほしいですし、池田勇太は持ち前の強心臓を遺憾なく発揮すれば自ずと上位に来るでしょう。藤田もあのステディーなゴルフなら意外にも…なんていう可能性もあります。松山は若さを前面に出し、思い切りの良さで行けば面白いでしょう。
 いずれにしても今からわくわくするマスターズになりました。それとも実際に行きますか?現地に!

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偉大なプレーヤーの名言レッスンコーナーその16  14:56

『上手くなる人はパターでスイングを作り、いつまでも下手な人はドラーバーでスイングを作ろうとする』
 小針春芳(1921~)
 小針春芳プロは、日本オープンなど日本のメジャー9勝という往年の名選手です。栃木県に生まれ育ち、16歳でプロになり、名門那須ゴルフ俱楽部に入ってから一度も那須を離れていません。ただ一度兵役で激戦地のニューギニアに赴任、400人いた部隊で、生き残ったのが13人だったというこれ以上ない、という過酷な戦場での体験をしています。そんな体験に比べればゴルフの猛練習など屁でもない、というご仁です。
 いつも研究熱心で、クリークの名手としても有名です。そんな名人の口癖が冒頭の言葉です。
「パターの振りの延長線が大きなショットのスイングを作るのじゃ。それを大きなドライバーの振りから作ろうとするからおろそかなスイングになってしまうんじゃな。細かな積み重ねが何より大事なんじゃよ」
 はい、ボギー三平も心がけますです。

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宮里藍帰国会見に感じる『心技体』 2010年12月10日金曜日 13:55

 宮里藍選手が帰国しました。今年は米国ツアーにおいて年間5勝という快挙を成し遂げました。最後の年間最優秀選手賞は逃したものの立派な戦いぶりだったと思います。米国ツアーは何と言っても移動距離が長く、体力勝負のツアーです。北海道から九州までぐらいの距離を毎週移動しながら戦うのです。それだけでも大変な労力を使ってしまいます。この移動だけ考えてもよくやった、と褒めてあげたいと思います。
 こういう話題になると思いだされるのが、青木功選手の『体・技・心』という言葉です。10年以上前のことですが、たまたま米国のチャンピオンズツアーに参戦している青木功選手に同行した時のことです。
「あのさ、心・技・体という言葉があるだろう、でも俺には体・技・心という言い方のほうがピンと来るんだよね」とつぶやいたのです。どういうことですか?と聞くと、「だってさ、身体の健康がしっかりしていて、技も大丈夫、という時じゃないと心のほうは平常心になれないだろう。身体のどこかに不安があったり、技術がこころもとなかったりすると心理状態がよくないよね。だから順番が違っていて、心・技・体じゃなくて体・技・心じゃないのかな、と思うんだよ」ということなのです。
 この言葉が青木功選手よりも、今の宮里藍ちゃんの様子を表現するのにぴったりではないかと思います。技は十分、体力も丈夫ながら、連戦が続くうちに疲れがたまってくる、そしてその疲れが、心理的にも体力に不安が出てくるようになり、平常心を乱してしまう、というものではなかったのでしょうか。だめな時の藍ちゃんはパットが入らない。だからいい時は優勝、しかし何かちぐはぐなプレーをする時は予選落ちをしたりする、ということだったのではないでしょうか?米国人に比べはるかに小さい藍ちゃんの体力は、終盤になるに従って疲れが取れない日々となるのではないでしょうか?今年のオフは、このことに注意しトレーニングを積み、強靭な体力にすれば来年の米国ツアーの天下は藍ちゃんのものでしょう。今年以上に期待できる来年ではないでしょうか?

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見ごたえのあった2010年賞金王争い 2010年12月6日月曜日 11:37

日本のゴルフトーナメントツアーの最終戦日本シリーズJTカップは、実に見応えのある最終戦でした。優勝賞金の4千万円をめぐって、1位のキムキョンテ、2位の石川遼、3位の池田勇太の3人の争いにゴルフファンならずとも3人の一挙手一投足に目を見張ってテレビを見ていたと思います。この3人に割って入った形で優勝を狙った藤田寛之、谷口徹がその争いをさらに刺激した形の戦いでした。日本シリーズが開催される東京よみうりCCは、17番ホールと最終18番ホールパー3の結果が鍵となります。17番でバーディーもしくはイーグルを取り、18番を最低でもパーを死守した選手に最終的に勝利も女神がほほ笑むのです。池田勇太は前半、このセオリーを守り首位に立ちましたが、後半逆にこのセオリーを守ったのが藤田寛之。17番ホールをイーグルとした後、最終18番でも緊張のパーをセーブし藤田がこの3人を尻目に優勝、賞金ランキングでも2位となりました。最終日17番18番でこのセオリーを守れなかった池田が敗北した形となったのです。石川は初日の76が響き最後まで優勝争いには届きませんでした。
 一方1位のキムキョンテは、確実にパーを拾っていく堅実なゴルフに終始、もし池田や石川に優勝されても、賞金王は確実なポジションを最初から狙っていたようなプレーぶりでした。実際年間通じての平均ストローク、パーキープ率、パーオン率に関しては、圧倒的にキムが1位に輝いていることからもおわかりでしょう。
 しかし3人3様、藤田も入れた4人の賞金王争いは、近年稀にみる闘いで久しぶりにワクワクする最終戦でした。これでこの4人が来年のマスターズに参加する可能性が出てきましたが、日本ツアーで、この4人の切磋琢磨がみる事ができ、さらに世界の檜舞台でこの4人の活躍を見る事ができたらどれだけ日本のゴルフ界が盛り上がることでしょうか。男子も韓国に負けたか、という批判に関してはまた別の話とし、日本のゴルフ界を最後まで盛り上げたという貢献度がこの4人にあったと思います。
 来年は、さらに薗田峻輔やランク5位となった松村道央あたりが絡み、混戦模様になるのは必死の様相だと思います。来年も本当に楽しみな日本ツアーですね。

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閑話休題 猛暑の中の芝のこころ 2010年12月3日金曜日 13:01

 今年の夏の暑さの異常さには、さすがのアスリートゴルファーも「参った」の声が出ていました。しかもちょっとの間の暑さではなく、7月の中頃から9月いっぱい続いていたからたまったものではありませんでした。お陰様で、いつもの時期に秋が来ない。秋の期間が短いというのも今年の特徴でした。
 こんな暑さを参っていたのは、何も人間だけではありません。グリーンの芝も同様、大量の汗をかいているのです。全国のゴルフ場の芝が汗をかき、なお且つ悲鳴を上げ、もうだめだ、と枯死している姿をずいぶん見ました。三平も全国あちこちのコースから芝を見に来てよ、と忙しい夏を過ごしましたが、本当にかわいそうでした。プレー中、グリーンを踏むことさえ憚るような思いさえしました。ゴルファーは残酷だなとさえ思ってしまいました。
ゴルファーにしてみれば、お金、グリーンフィーを払うのだから、当然きちんと生えそろった芝の上でのプレーをイメージしてコースにやってきます。しかしティーショットの後、やっとの思いでグリーンにたどりついたとたん、茶色でしかも砂だらけ。ここまで、バンカーに入れたり池に入れたりで、やっとグリーンにたどりつき、グリーンの芝を見たら、緑ではなく茶色、しかもところどころ禿げ禿げ。これでは意気消沈をするのも当たり前のこと。パットをする元気もなくなります。たまたまのパーパットも入る気がしない。今年の夏の暑さはこんな状態ではなかったでしょうか。
 でも芝の気持ちにしてみたら、暑いから水をかけてくれるのはうれしいんだけど、この異常な暑さで繁殖したバイ菌をもっと退治してよ。この暑さで体力が弱っているんだからもっと栄養をください。水をもらえるのはうれしい反面、グリーンの土壌ももっと水が抜けるようにしないと、足元に水がジュクジュクして、湿度が高く蒸し暑いよ、などと不平不満だらけの状態だったでしょう。芝の気持ちをもっと理解して、ちゃんとメンテナンスをしてよ。と言いたかったのではないでしょうか。
 もちろんこの時期、きちんと緑の状態の芝を保ったコースもありました。全国のコースでも、気象条件が違うので一概には言えませんが、概してこの芝の気持ちをよくわかってくれたグリーンキーパーのところは何とか頑張ったようです。
 しかし三平が言いたいのは、何も今年急にこの温暖化がやってきたわけではありません。2,3年前から兆候は出ていたはず。過去例を見ないグリーンの病気が出ていたコースも多くありました。そんな状況でどうして準備をしておかなかったのでしょうか、常に他のコースの情報を取り、あちこちで起こっている問題を分析しておかなかったのでしょうか、これはコースマンとして失格です。
さらに頭に入れておかないといけないのは、グリーンのベント芝というのは、寒地型芝だということです。つまり寒い地方でよく育つ芝で、夏の高温多湿の気候には全く不向きだということを再認識しないといけないと思います。日本にしかない2グリーン(本来のゴルフ場の姿ではないが)はどうしてできたか?をよく考えてみましょう。片方をベント芝、もう一方を夏に強い高麗芝という組み合わせは、夏対策なのです。これを最近両方ともベント芝にしているところが多いのですが、これでは、どうして2グリーンにしているのか全く理解できません、ということになります。つまり今年などは、両方のベントグリーンともだめにしているコースがありました。これは当然のことで、2つともベントグリーンなら全く補完し合うということができないのです。片方が夏に強い高麗グリーンだから2グリーンの意味があるのです。これではわざわざゴルフ本来の常識を破ってまで、2グリーンにする意味がなくなってしまいます。
 どうも日本では芝のこころをわかっていない方が多いように思います。

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偉大なプレーヤーの名言レッスンコーナー その15 2010年12月2日木曜日 14:26

   『飛距離は持って生まれたもんや。そんなもんに血道をあげとったら自分のゴルフはつくられへんで』
                             宮本留吉(1902~1985)
 宮本留吉さんは、日本プロゴルフ界の草創期を飾った日本の第一人者です。キャディーから身を起こし、身長160cm、体重60kgに満たない小柄な体格をベースボールグリップとオーバーラッピンググリップをミックスした独特のグリップで非力をカバーしていました。
 非力さをもっとも実感したのは、ハワイ、米国本土遠征の時でした。大男達の飛ばすパワーを見て、こりゃ同じ土俵で勝負したらかなわんわ、ということで、飛ばすことに努力するより、それを補う小技を磨くことに励みました。その結果、あのマスターズの創設者、球聖ボビー・ジョーンズとのマッチに勝ち、掛け金5ドルをせしめたのです。その5ドル紙幣に、ジョーンズのサインをもらったことが話題になり、それを大事に自宅に飾っていたそうです。現在は、広野GCにあるゴルフミュージアムに展示されています。
 ゴルフを始めたばかりの皆さんは、概して飛ばすことに集中して練習しますが、飛ばすことよりもっと練習しなければいけないことがたくさんあります。アイアンショットをいかに正確にショットするか、またグリーン上のパットが入らないとスコアになりません。スコアメイクをしようとしたらアプローチ、パターのほうがはるかに大事なのです。スコアカードには、スコアのみしか書かないでしょう。ドライバーの飛距離をかく欄などありません。このことを頭に入れて練習してください。

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