閑話休題 猛暑の中の芝のこころ 2010年12月3日金曜日 13:01

 今年の夏の暑さの異常さには、さすがのアスリートゴルファーも「参った」の声が出ていました。しかもちょっとの間の暑さではなく、7月の中頃から9月いっぱい続いていたからたまったものではありませんでした。お陰様で、いつもの時期に秋が来ない。秋の期間が短いというのも今年の特徴でした。
 こんな暑さを参っていたのは、何も人間だけではありません。グリーンの芝も同様、大量の汗をかいているのです。全国のゴルフ場の芝が汗をかき、なお且つ悲鳴を上げ、もうだめだ、と枯死している姿をずいぶん見ました。三平も全国あちこちのコースから芝を見に来てよ、と忙しい夏を過ごしましたが、本当にかわいそうでした。プレー中、グリーンを踏むことさえ憚るような思いさえしました。ゴルファーは残酷だなとさえ思ってしまいました。
ゴルファーにしてみれば、お金、グリーンフィーを払うのだから、当然きちんと生えそろった芝の上でのプレーをイメージしてコースにやってきます。しかしティーショットの後、やっとの思いでグリーンにたどりついたとたん、茶色でしかも砂だらけ。ここまで、バンカーに入れたり池に入れたりで、やっとグリーンにたどりつき、グリーンの芝を見たら、緑ではなく茶色、しかもところどころ禿げ禿げ。これでは意気消沈をするのも当たり前のこと。パットをする元気もなくなります。たまたまのパーパットも入る気がしない。今年の夏の暑さはこんな状態ではなかったでしょうか。
 でも芝の気持ちにしてみたら、暑いから水をかけてくれるのはうれしいんだけど、この異常な暑さで繁殖したバイ菌をもっと退治してよ。この暑さで体力が弱っているんだからもっと栄養をください。水をもらえるのはうれしい反面、グリーンの土壌ももっと水が抜けるようにしないと、足元に水がジュクジュクして、湿度が高く蒸し暑いよ、などと不平不満だらけの状態だったでしょう。芝の気持ちをもっと理解して、ちゃんとメンテナンスをしてよ。と言いたかったのではないでしょうか。
 もちろんこの時期、きちんと緑の状態の芝を保ったコースもありました。全国のコースでも、気象条件が違うので一概には言えませんが、概してこの芝の気持ちをよくわかってくれたグリーンキーパーのところは何とか頑張ったようです。
 しかし三平が言いたいのは、何も今年急にこの温暖化がやってきたわけではありません。2,3年前から兆候は出ていたはず。過去例を見ないグリーンの病気が出ていたコースも多くありました。そんな状況でどうして準備をしておかなかったのでしょうか、常に他のコースの情報を取り、あちこちで起こっている問題を分析しておかなかったのでしょうか、これはコースマンとして失格です。
さらに頭に入れておかないといけないのは、グリーンのベント芝というのは、寒地型芝だということです。つまり寒い地方でよく育つ芝で、夏の高温多湿の気候には全く不向きだということを再認識しないといけないと思います。日本にしかない2グリーン(本来のゴルフ場の姿ではないが)はどうしてできたか?をよく考えてみましょう。片方をベント芝、もう一方を夏に強い高麗芝という組み合わせは、夏対策なのです。これを最近両方ともベント芝にしているところが多いのですが、これでは、どうして2グリーンにしているのか全く理解できません、ということになります。つまり今年などは、両方のベントグリーンともだめにしているコースがありました。これは当然のことで、2つともベントグリーンなら全く補完し合うということができないのです。片方が夏に強い高麗グリーンだから2グリーンの意味があるのです。これではわざわざゴルフ本来の常識を破ってまで、2グリーンにする意味がなくなってしまいます。
 どうも日本では芝のこころをわかっていない方が多いように思います。

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