全米プロ開催コースと石川遼への期待 2010年8月11日水曜日 17:18
今回メジャー最終戦全米プロが開催されるウィスリングストレイツで、石川遼がどんなプレーをしてくれるか、非常に興味があります。このコースでどんなプレーをするか、で来年以降の石川遼の活躍を占うことができる、と言っても過言ではありません。このコースは、過去彼がプレーしたどのコースよりはるかに難しいコースだからです。タイプが全く違っている、と言っても過言ではありません。
日本では、58を出したと言って、ギネスにも申請などと話題になっていましたが、スコアを聞いて最初はびっくりしたのですが、そのプレーの内容を知って、がっかりしました。理由は以前も書きましたが、ドラーバーショットの次のセカンドショットで使用したクラブが長くても8番アイアンだったのです。それ以外はピッチングウエッジかサンドウエッジ。58というスコアは素晴らしいですが、これを単純に喜んでいいのか、困ってしまいます。つまりコースが簡単すぎるのです。今回のウィスリングストレイツは、全く逆。バンカーの1200個もあるのもすごいですが、グリーンを狙うクラブがロングアイアンがほとんどになるはずです。さらに風が吹いたら、とんでもなく難しくなります。こんな設計のコースで、この難しいコースをどう攻めるか、石川遼の真のゴルフを見ることができるのです。
その昔、マスターズの創始者で、オーガスタナショナルを設立した、ボビー・ジョーンズは、アマチュアながら全米オープン、全英オープンに優勝し、全米アマ、全英アマのタイトルも合わせて初のグランドスラムを達成した球聖と呼ばれた名プレーヤーですが、彼が初めてセントアンドリュースオールドコースをラウンドした際、あまりにも難しくて、途中スコアカードを破り、10番ホールで帰ってしまった、という事件を起こしました。あまりにも難しいコースで、しかも風も強い。当時世界中のゴルファーから尊敬されていたボビー・ジョーンズのこんな姿を見せたということは大事件だったのです。ちなみに前半9ホールのスコアは45だったそうです。そして今でも最後の10番ホールにボビー・ジョーンズホールとネーミングされています。
しかしここでボビー・ジョーンズは、自分に足りものを発見、この後、驚異的なスコアでセントアンドリュースを制することになるのですが、このエピソードは後述することにして、今回の全米プロで、石川遼が、ボビー・ジョーンズがセントアンドリュースで初めてラウンドした時と同じような結果になるのか、それともさらに飛躍しているゴルファーになっているのか、しっかりと見極めることができるコースだと思います。
元々飛行場だった跡地をこのコースのオーナーが買収し、大好きだった設計者ピート・ダイにこの上ない難度の高いコースになるようにと依頼した結果完成したコースです。アメリカのコースにしては珍しくカートを採用していない。スコットランドのコースのようにキャディーと歩いてラウンドするスタイル。ここまでリンクスコースと同じにしたいと徹底しているのです。ゴルフ発祥の姿を造りたい、ということなのでしょう。ピート・ダイのリンクスコース設計へのこだわりとそれを実現させたオーナーの財力が造り上げたということになります。ちなみにこのコースのオーナーは、バスタブや台所の流しなどを造っているカーラー社という会社のオーナーです。
そんな二人の傑作のコースでメジャーが開催されるというのは、本当に意義深いことなのです。
ラベル: 雑記録