忍耐と頭を使ったコースマネジメントが優勝につながった全米オープン 2010年6月21日月曜日 19:09

 今年のペブルビーチでの全米オープンは、イギリスのマクドウェルがこつこつと貯金をするような感じのゴルフで優勝しました。タイガーやミケルソンのような華やかな雰囲気はなく、エルスのような王道を行くようなゴルフでもない、石川遼のように、飛ばして剛で柔を制するようなゴルフでもない。淡々とフェアウエイキープを狙い、グリーンにパーオンさせ、確実に2パットでパーをセーブしていく、というステディーなゴルフのように見えました。失敗に興奮して怒るわけでもなく、バーディーに飛びあがるような喜びも見せない。
実に静かなゴルフを見せてくれました。 
 解説の羽川豊プロが、「まるでカップを狙わないかのようなバーディーパットですよね。バーディーパットは必ずショート目に打ち、パーパットを確実に入れていく、という姿が印象的です。」と解説していました。青木功プロなどは、孫を見るような思いで石川遼のパーティーに付き、1ショットごとにため息ついたり、よし!と言ってみたり、まるで野球のリトルリーグにでている子供の親のような雰囲気の解説でしたから、マクドウェルがトップに出ていたなどと気がつかなったのではないでしょうか。
 でも学ぶところ大です。確率から言って、少しでもリスクのある攻め方は絶対にしていないのです。今年の全米オープンのコースセッティングはこれまで以上に厳しいものがありました。海に落ちていくようなところのラフは、以前までは長く伸ばしてボールが止まるようにしていたのですが、それを刈り込んでいて、タイガーやエルスのボールが海に転がって行きました。グリーンオーバーしたボールもこれまでは、ラフが長く、グリーンわきで止まっていましたが、今回はかなり下まで刈り込んでいて、どんどんグリーン奥に転がりこんでいました。圧巻だったのは14番パー5。石川遼の3打目のアプローチが確実にグリーンをとらえたにも関わらず、下りの斜面からグリーンの手前、数十ヤードのフェアウェイまで転がりこんでしまうのです。そんなコース設定、そして強い海風、これにみんな負けたのです。
 一人マクドウウェルだけは、このコースセッティングに逆らわなかったのです。印象的だったのが、最終18番ホール。みんながフェアウエイウッドやロングアイアンで2オンを狙い、バンカーにボールを落としているのを見て、優勝を確実にするために彼が取ったセカンドショットのクラブは何と9番アイアン。残り100ヤードのフェアウエイに確実に落とし、簡単にグリーンを捉え、2パットのパーで、結局4日間トータルイーブンパーという優勝スコアでした。これは石川遼だけでなく、我々アマチュアゴルファーがまず参考にしないといけないコースマネジメントですね。テレビで見ているこちらまで淡々とゴルフを見ていたように思います。静かな全米オープンでした、テレビ中継の解説以外は。(この解説の件はまた次回に)

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