青木功プロと落合博満元監督の共通点 2012年1月31日火曜日 17:04

シニアになって一度病院に入院したことのある青木功プロが、退院してしばらく経ったある時、工事中のゴルフ場を歩いていた時のこと、何を思ったか、「俺さ、思うんだけど、心技体という言葉は逆じゃないかと思うんだよ、体技心じゃないかと思うんだよ」と話しかけてきたのです。「いくら精神が安定していても身体がきちんと整備されていなかったら、不安だらけになるよ。身体を鍛え抜き、戦える身体にし、さらにそれに裏付けされた技を身に着ける。いくら磨いても技は磨き足りないけど、きっちり磨いていれば、心は充実してくるよ。だから体技心だと思うんだよ。」この時以来あちこちでこの話をするようになったのです。体技心というボードまで作っていました。
 そんなことがあった数年後、あのプロ野球の元中日監督の落合博満さんの、「采配」という本を出版。この采配を読むと、青木プロが三平に話したことと全く同じことが書いてあるのを発見しました。プロ野球選手も体力と技に裏付けされて初めて強い心が宿るんだ、ということでした。これには三平もびっくりしました。
 やはり世界のメジャーの大舞台で何度も大勝負をしてきた青木功プロと前人未到の3度の三冠王を獲得している落合選手の感性は共通だったのです。このお二人の言葉は、実体験から来る本音の言葉だと思いますし、説得力という点ではこれ以上のものはないでしょう。
 それぞれゴルフと野球という違いはあっても、体力と知力、精神力がそろっていなければ、その道のトップにはなり得なかったと思います。そういう意味でも人生の珠玉の言葉の一つではないでしょうか。

ラベル:

偉大なゴルファーの名言レッスンコーナー その38  11:16

『スタンスはグリップの握りと同じくらい重要なものだ』
                          ウォルター・ヘーゲン(1892~1969)
ヘーゲンの時代には「グリップはスイングの基本」というのが常識でしたが、スタンスの重要性をいう人は、まず、いませんでした。今ではグリップを基本という人は少なくなりました。その理由は、古今東西の名手・名人たちは誰1人として同じグリップをしていないからです。それならば基本とはいえず、球筋の個人の好みによって握ればいいというふうになってきたからです。対してスタンスの広さはドライバーで「肩幅」、というのが現在の基本といえるでしょう。ヘーゲンはワイドな広さにしていました。上半身の捻りに負けないくらいの広さで、下半身を安定させるといういう意味があってのことです。ヘーゲンが飛ばし屋だった原因がここにありました。スタンスなど下半身に関心を持った魁(さきがけ)といえるでしょう。

ラベル:

今年のタイガー・ウッズと石川遼は活躍するだろうか。 2012年1月26日木曜日 13:41

世界のゴルフツアーは、年明けとともに日本ツアーより一足先に開幕しました。欧米の選手たちは、この開幕に合わせてコンディション作りを行っていますから、年明けから勢いが違います。日本はまだまだ寒い日が続いており、開幕が3月後半から4月ですから、日本の各選手の体の仕上げ方はまだまだ冬季トレーニングの段階です。そんな中の石川遼選手も、いきなりハワイでのソニーオープンに出場してもいい成績が出るわけがありません。逆に日本ツアーに合わせているなら、トレーニングの一環として出ているに過ぎないでしょう。これがアメリカツアーに対し失礼に当たらなければいいのですが、また石川遼選手も、まだまだ日本ツアーは開幕していないので練習です、というならアメリカの選手に対して失礼だろうと思います。
 最近の石川遼選手を見ていると気になることが一つ。これまでは若さゆえの勢いで走っていたかと思います。それでも大変な成績を残していますが、日本のゴルフファンはこの成績に飽き足らず、さらに上のレベルを期待しています。そうなった場合、やはり彼自身どのようにしてレベルアップをするつもりなのでしょうか?ここが今年は気になるポイントです。彼は類まれなるゴルフの才能を持っているとは思いますが、それをさらに開花させる努力が必要ではないかと思うのです。つまりそれは彼のスイングそのものを冷静に見つめ分析し、魅力あふれるプレーができるように導くティーチングプロが必要のように思います。あのジャック・二クラウス、トム・ワトソン、タイガー・ウッズにしても必ず第3者のティーチングプロが付いて、彼らのスイングチェックを絶えず行っていました。石川遼選手にとって今年は、この存在がカギを握りそうな気がします。ゴルフというスポーツは、世界のトップランクを目指すなら、この存在は欠かせないのです。今年の石川遼選手はかなり今年、いいティーチングプロに出会わないとかなり苦戦するような気がします。
 一方タイガー・ウッズはどうでしょうか?この2年間自分のまいた種とはいえ、精神的にかなり弱った状態でのゴルフを強いられていました。それがどこまで克服できたか、今週のアブダビでのヨーロピアンツアーのゴルフを見ないとなんとも判断できませんが、ただこのアブダビでの記者会見で、「今回はアピアランスマネーがあったから出場したのですか?」との質問に、いとも簡単に「YES」と答えたのです。これまでYESと答えた選手はあまりいなかったように思います。記者たちはかなりびっくりしたようですが、逆にタイガーは、ここまで言い切ったということは、もう開き直っているのではないでしょうか。言いたいことがあるならどうにでも言ってくれ、ということのように思います。昨年末ティーチングプロだったハンク・ヘイニーまでもタイガーについての暴露本を書きました。これらの周囲から騒がれることに対し、もうどうでもいい、自分はゴルフで勝負だ、という感じなのではないでしょうか?これが事実なら、今年のタイガーはかなり面白い。つまりかなり活躍するのではないでしょうか?ゴルフはメンタルスポーツです。メンタルの持ち方次第で、ミスショットも生まれ、プレーもぞんざいになっていきます。逆に開き直っていたら、周囲の雑音に関係なく、ゴルフに集中できるように思います。そろそろタイガーもここらでまた爆発しないと並みの選手で終わってしまうような気がします。そういう意味では今年のタイガーには目を離せないのではないでしょうか?

ラベル:

温故知新 2012年1月10日火曜日 10:40

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
新年最初の記事は、石川遼のマスターズでの予想活躍ぶりを占う、というタイトルで書こうと思っていたのですが、世界ランキング51位のままでなかなか出場権を獲得できないでいますので獲得するまで待つことにしました。今週からの米国ツアーに期待したいと思います。
 そんな中で新年早々我らがお父ちゃん、林由郎プロが、永眠しました。89歳の大往生です。三平は大変お世話になった方です。いろいろなイベントに参加していただき、模範ショットやミラクルショットを披露していただきました。あるとき、「おい、ボールを2つ横に並べてティーアップし、それを連続して打って、ボールが一番高い位置になった時に交差するという技をやってみようか、驚くぞ!」と言われ、やっていただいたところ、見事空中でクロス、参加者からはやんやの喝采でした。ゴルファーが一人でも増えるならいろいろやるよ、と言われ、テレビ番組まで作りました。30分のトークショー番組でしたが、その中に「押しかけレッスン」というコーナーを作ったのです。いきなり街の練習場に行き、白衣を来ていただき、全く知らない人にいきなりレッスンしたのです。相手はびっくり。でもこれがウケましたね。こういういたずらが大好きでした。こんな番組だったのですが、深夜放送にもかかわらず7%の視聴率を取ると、その影響で他局での日本プロの解説を降ろされてしまいました。あわてて林さんのところにお詫びに行くと、「何、いいんだよ、こっちのほうが面白いよ」と言ってくださり、続けていただいたのですが、本当に気遣いをする方でした。しかし私生活では厳しい方でした。「我々プロは5分遅刻したら失格なんだよ、だから私との約束に遅れてきたら失格、出直して来い」と言って断っていた姿をよく目の当たりにしました。でも次は親切の話を聞いていたのです。
 技術的にはバンカーなどが有名ですが、練習を拝見しているとトラブルショットだけ盛んに練習していました。「俺はね、一度木の横に止まったボールを打とうとして空振りしたことがあるんだよ、だからそれ以来トラブルショットだけ練習することにしたんだよ。」その代表があのバンカーの目玉のショット。一度ボールの下にヘッドを入れ、すぐ戻すという神業ショット。三平も教えていただいてトライしてみたのですが見事に出ます。長年の研究の成果なのでしょうね。そのたびに林のお父ちゃんを思い出しますが、三平にとっては本当にいい人を亡くしました。ゴルフ界に残した足跡は小さくはなかったと思います。まさに新年の最初の記事はこの林プロを偲ぶ温故知新の記事です。この思い出は末永く大事にしたいと思います。合掌。

ラベル: