ペブルビーチのグリーンに関する質問がかなり来ました 2010年6月29日火曜日 13:01

 米国を代表するゴルフコースで、なお且つ世界のリゾートコースの中でも、常に1位か2位にランクされるペブルビーチゴルフリンクス。死ぬまでに1度はプレーしてみたい、と誰しもが思う名コースです。不肖ボギー三平も3度行ったことがあります。海辺に広がるホールは何と綺麗なことか、とても人間が造ったとは思えない美しさがありました。そしてこのペブルビーチと隣のサイプレスポイントGC、スパイグラスヒルCCの3コースは、世界で最も優雅なリンクスコースとして評価されているのです。全米オープンが100回目に当たった2000年の記念大会も真っ先にこのペブルビーチが選ばれたほどの評価なのです。
 しかしそんな風光明媚なコースながら、先日開催された全米オープンをご覧になった方は、さぞやびっくりしたことでしょう。グリーンの色の具合が迷彩色のようなまだらになっていて、見た瞬間「エ!」と驚いた方が多かったと思います。世界中の様々なグリーンを見ている三平もさすがにびっくりしました。
 理由は、ポアナと呼ばれる雀のカタビラの一種がグリーン上のかなりのスペースを占めていて、それが変色していたと予想されます。ご存知の方もいるかと思いますが、グリーンの芝の種類は、世界中に2000~3000種類もあります。主に温帯地域(日本など)から北のほうのコースは、ベントグリーンと呼ばれる種類の芝を使っています。パッティングクオリティーも高く、何と言っても綺麗ですよね。また亜熱帯から熱帯地方のコースでは、ティフトンと呼ばれるバリバリでクラブヘッドに巻きつくような芝を短く刈り込んで使用しています。この基準は夏の暑さ、冬の寒さにどれぐらい強いかによって選ばれることになります。
 このペブルビーチは、当然ベント芝を使用していました。ところが世界のどこにでも生えているのが、雀のカタビラと呼ばれる雑草です。さすがに雑草ですから繁殖力が強く、芝の葉自体も非常に強いのが特徴です。
強いゆえにベント芝の間にどんどん入り込んでいくのです。日本のコースでもほとんどのコースで見ることができます。入り込んだ時にすぐ排除しないとドンドン中に繁殖していきます。ペブルビーチの場合、あまりにも繁殖の勢いが強いので、このカタビラを逆にグリーンの芝の一種として共生させようとしているのです。もちろん強い芝ですから、パッティンググリーンとしては、きちんと刈り込めば全く問題ありません。短く刈り込めば速いグリーンになります。
 しかし欠点が色なのです。春先には白い花が咲きますし、芝の形が違うのでまだら模様になってしまうのです。またカタビラは気温が高くなると自然に変色し、消えていきます。今年の全米オープンが開催されるころのペブルビーチは、ちょうど気温が上がりかけたところだったのです。だからまだら模様があれほど目立ってしまったのです。あのまだら模様を極端に毛嫌いする人が多いですよね。マスターズなど見栄えの美しさにこだわるトーナメントでは考えられないグリーンの色です。日本でもこのようなグリーンの印象にしたら、グリーンキーパーは即解雇されてしまうような出来事ですね。スティンプメーターというグリーンスピードも13フィートというマスターズとほとんど同じぐらいのスピードが出ていましたし、コースそのものには誰も文句が言えないほどの名コースですから、そちらは問題ないのですが、あのグリーンだけは惜しかったですね。

ラベル: