偉大なゴルファーの名言レッスンコーナー その47 2012年6月27日水曜日 17:20

『スウィングの美しさとスコアそのものには何の関係もない。』
                          ペイン・スチュアート(1957~1999)
ニッカ・ボッカーというクラシックなコスチュームをダンディに着こなしていたスチュアート。スイングも華麗といわれました。しかし、そんな“美しさ”ばかりに目がいき、スチャアートの実力は陰にかくれがちでした。パープレーを優勝スコアに設定する難コースの全米オープン。実力世界一を決めるトーナメントといわれる所以です。その全米オープンに、スチュアートは何と2度も勝っているのです。ゴルフではいいフォームをつくることと、スコアメイクとはまた違う要素という真理も潜んでいるのです。全米オープンを2度も勝ったというのはその真理に一歩も2歩も近づいたともいえるでしょう。スチュアートは自家用飛行機の事故で夭折したことも、その「言葉」に伝説を与えているのだと三平は思いますね。

コースは難しくすべきか、簡単にすべきか、 2012年6月22日金曜日 17:03

先週の全米オープンの興奮が未だおさまらないのは、私だけでしょうか?あのいかにも難しいコースセッティングのオリンピックゴルフクラブで演じられた名勝負。ちょっとのミスや判断間違いを犯したヒューリックが優勝を逃がし、ステディーなゴルフを心がけ、常に冷静な心でプレーしたウエブ・シンプソンの頭上に栄冠が輝く、という試合を見ていたゴルフファンも納得しながらも、うーんとうなるしかない結果だったと思います。
 試合終了した直後、三平のところにあるゴルフ場のオーナーから電話がかかってきたのですが、「全米オープンを見ていたんだけど、えらく難しいセッテイングだったね、見ている方は興奮したけど、ああいうコースをどう思いますか?私はああいうコースこそ経営したいと思うけど、お客さんは入らないだろうね?どうだろう?」
というものでした。三平の答えとしては、「00さん、両方経営したらどうですか?両方必要ですよ、日本には。オリンピックのような欧米の難しいトーナメントコースがないから日本のプロは土壇場で負けるんです。女子プロの7連敗を見ていれば一目瞭然でしょう。簡単なコースでやればやるほど欧米で戦ってきたプロには簡単にしかみえないでしょう。だから、難しいトーナメントコースと様々な年代のゴルファーに楽しんでもらえるカジュアルなコースの2つ経営しましょうよ。」
 1コースの中で、ティーの位置によって、難しくもなったり、優しくもなったりするコースコンセプトもあるが、当初からそのために設計したコースならいいが、なかなかそうもいかないでしょう。ただ2オンできるパー5が2つ、絶対にできないパー5が2つ、というようなバランスもあるでしょうが、徹底した難しさのトーナメントコースというのも日本には、必要だと思います。それを知っている経営者が経営しないと、いつのまにかバンカーがいくつか消えたりすることもあったりするのが、日本のコースですから、そこが問題ですけどね。
 でも全米オープンのような興奮する試合もいつかは日本で見てみてみたい、と思うのは、三平だけではないように思いますが、皆さんいかがでしょうか?

偉大なプレーヤーの名言レッスンコーナー その46 2012年6月19日火曜日 17:16

『トラブルに陥ったら、君がマスターしているショットをせよ。マスターしたいなと願っているショットでなく。』  
                                   ジャック・バーグ(1923~)
ビギナーほどトラブルに陥った場合、乾坤一擲、プロトーナメントでみたような脱出劇を試みようとします。今年のマスターズ、優勝したバッバ・ワトソンのプレーオフを制したフックボールのようなショットを私もと思うのでしょう。しかしそれで成功した例を、三平は寡聞にして聞きません。ますます窮地に陥って散々な大たたきをするのがオチ。無謀はやめましょう。トラブルに陥ったら、次のショットに一番有利になるところへ出す。これを念じてください。それがステップアップの条件とさえいえます。

タイガー・ウッズに見るマナーの原点  16:34

 今年のマスターズは、ババ・ワトソンによる劇的なリカバリーショットでの大逆転優勝で幕を閉じた。最後まで諦めないプレーぶりが、世界のゴルフファンから共鳴を得たので はないだろうか。それにしても見事なインテンショナルフックでした。土壇場であのようなスパーショットが打てるようじゃないとメジャーには勝てないのでしょう。
 一方復活の優勝を期待されたタイガー・ウッズは、前週まで好調だったショットが全く見られず40位。今日こそタイガーチャージが出るのではないか、と毎日期待してテレビを見ていた筆者もがっかり。しかもそれ以上に問題だったのは、世界のゴルフファンの間に物議を醸すような事件をまた起こしてしまったのです。
 マスターズ2日目、16番ホール、パー3。さあ、後半に向け、タイガーチャージのきっかけになるか、と期待していました。ところが9番アイアンでピンをデッドに狙っていっ
たと思いきやピンから大きく離れ、右端のほうにオン。その瞬間その9番アイアンを投げつけ、さらにはずんだそのアイアンを足蹴りにしてしまったのです。これがテレビに大きく映り一瞬会場にも静寂があったように思われた。
 過去筆者もタイガー・ウッズの取材を何度も行ったが、クラブを投げつけるのは日常茶飯事、汚いフォーレターワードもかなり叫んでいました。そしてPGAツアーから、毎年罰金が100万ドルを超えていた、という事実もありました。米国のPGAツアーの罰金については非公開なので正確な金額まではわからないが、それほどタイガーのマナーが悪かったというのは事実のようです。しかしタイガーファンとしては、若さゆえ、とかプレーに熱中するあまりのことだから前向きにとらえて許してやろう、という雰囲気もありました。ゴルフ関係者に至っては、タイガーが勝ってくれればゴルフ界も盛り上がる、だからこの程度は許容範囲だよ、と公言していた人もいます。日本で言えば、レベルは違うが、
今の石川遼君のような扱いだったのです。
 しかしあの女性問題の後だけに、今は逆風。同じことをやってもかなりの非難の嵐になるのが世の中の常です。
 世界のゴルフの総本山R&Aの理事会でも今回のマスターズでのタイガーの所業は問題になったようです。
 そもそもどうしてこれほどゴルフというスポーツはマナーにこだわるのでしょうか?それは、やはり自己審判のスポーツだからでしょう。競技ルールを遵守し、すべて自己申告のスポーツ。スコアしかり、ルールしかり、自己申告によりプレーが成り立っている。つまりそれだけ自ら襟をただし、不正行為はしない、という人間性が求められるスポーツなのです。だからと言って何も堅苦しいスポーツというわけではない。相手を欺かない、裏切らず、ゴルフで一緒に楽しい時間を過ごすという基本でもあるからです。
 それではいったいいつ頃からこのマナーを基本とするスポーツになったのだろうか?
 ゴルフ発祥のころ、つまり15紀前後あたりのゴルフは、11マッチプレーしかプレー方法はなかったのである。だから当時のゴルフ場は、5ホールしかないとか、10
ール、25ホールなどバラバラのホール数だったのです。マッチプレーが基本だったから別にホール数は関係なかった。1ホールづつの勝ち負けだけだからホール数は問題なし。しかしマッチプレーゆえ、相手に気を遣うのは当然のこと、不快な思いをさせてはいけない、嫌な気分にさせてはいけないのが11の基本だろう。マナー遵守の原点はこのあたりにあると思われる。
 それが19世紀に入り、12ホールだったセントアンドリュースが改造により22ホールになり、さらにクラブハウス建設により18ホールになるにいたり、プレー時間やプレーの
流れが18ホールになると非常にスムースとなった。それでは、ということで、各ホールを何回でプレーしたかということを競い合うようになったのです。しかもこれだと2人だ
けのマッチプレーより、3人以上のプレーヤーが一緒にプレーでき、大勢の人たちが同時にプレーできるようになった、これがストロークプレーの始まりです。
 ところがこのストロークプレーだ11の戦う相手がはっきりしているプレースタイルではなく、相手は何十人と複数になる。一緒にプレーするのも複数になるから、気の遣
い方が違ってくる。戦う相手の顔がもろに見えるマンツーマンの時の気遣いが薄れてくるのは自然の成り行きだろう。これがマナーの悪さが目立つようになった始まりだろう、と
筆者は予想します。
 しかし自己審判という基本的なゴルフのマインドは変わらない。いくら相手が複数になろうが、一緒のパーティーでプレーしていないからと言ってこの基本的なマナーを守る必
要がないということにはならない。みんな明るく楽しく同じ時間を一緒に過ごすには基本的なルールマナーを守るのは当然のことなのです。
 今筆者一番心配なことはやはりこのマナー遵守するということが、薄れてきた時が、ゴルフの存続の危機になるに違いないと思います。一緒にプレーしていても楽しくなくなるからです。
 だから今回のタイガーの行為がどれだけ罪なことか、彼自身大いに反省する必要があるのです。近未来のゴルフ存続に関わるからです。


石川遼と藤本佳則 2012年6月5日火曜日 12:01

先週の日本ツアーチャンピオンシップで優勝した藤本選手のプレーは、新人らしからぬ強さを見せました。プロ入り5戦目とはとても思えない力強いスイングに落ち着いたコースマネジメントにはびっくりさせられました。ジュニアのころからその名前は全国に轟いていましたが、こんなに早く活躍するとは思いませんでした。ある意味石川遼選手とかなり違った形のデビューと言えるかもしれません。誰も存在を知らなかった石川遼選手が彗星のごとく出現した姿と、いつかはプロで活躍するだろうな、と小さいころから言われ、東北福祉大学に入学後もアマチュアの世界では一目を置かれていた藤本選手との違いは対称的です。あのマスターズで活躍した松山英樹選手も、目指すのは藤本選手と公言してはばからないといいます。
 その藤本選手と石川遼選手と大きく違う点が一つありました。それは藤本選手は、プロ入りするにあたって、ティーチングプロに依頼し、きちんとグリップからスイングチェックまで、チェックしてから試合に臨んでいるという点です。石川選手には父親のレッスンを受けていたり、たまにジャンボ尾崎選手に見てもらっているという話もありますが、藤本選手は、プロ入りするにあたり、きちんとしたレッスンメソッドを習得しているティーチングプロのチェックを受けているという点では、特筆すべきことで、欧米のプロの心構えを習っていると思われます。
  ジャック・二クラウスのジャック・グラウトやトム・ワトソンのバイロンネルソン、あのタイガーでさえ、ブッチ・ハーモンなど、そうそうたるティーチングプロと契約をしていました。
 先日のメモリアルトーナメントで9位と久々に上位に入った石川選手は、現地の記者の話を聞くと、ラウンドも一人で、スイングも悩んでいます、というコメントだったそうです。彼が、今後大きく伸びるか伸びないかは、このティーチングプロの存在があるかどうか、かかっているような気がします。それを先取りした形の藤本選手の活躍のほうがが案外早いかもしれませんね。

久しぶりにタイガーのうれしい話 2012年6月4日月曜日 11:04

このところゴルフ界もちょっと低迷気味で話題もあまりなく、アコーディアのトップのマイナスイメージの話だけでしたので、このコーナーもご無沙汰しておりました。しかし先週のゴルフ界は久しぶりに話題満載でした。
まずビッグニュースはタイガー復活優勝のニュースが4日早朝に入りました。第5のメジャーと言われるメモリアルトーナメントですから、喜びもひとしおでしょう。しかもあのジャック・二クラウスがホストのゴルフファン注目のトーナメントです。会場は、オハイオ州のミュアフィールドヴィレッジGC.鬼才と言われた名匠デズモンド・ミュアヘッドとジャック・二クラウスの共同設計のコースです。池やクリークをふんだんに取り入れた美しく、難しい名コースです。全米コースランキングでも常にベスト20に入り、プロでも簡単にダブルボギーとなってしまうほどの難コース。美しいところには罠がある、の名言通りの名作です。
このコースでの優勝は価値があります。この後の全米オープンや全英オープンに向け、メジャー優勝へのはずみがつくのではないでしょうか?タイガーファンとしては、待ちに待った復活ののろしになるとうれしいなあ、とボギー三平も期待しています。